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連載講師紹介

講師 松井講師
職業 大手電気メーカの品質部長を歴任し、定年後はコンサルタントとして辣腕を振るう
専門分野 品質管理、品質保証、マネジメントシステム

連載項目

ISO14001-2004 - 第1回:ISO14001とは

はじめに

これから数回の連載で、皆さんと一緒に、ISO14001 について、勉強していきたいと思います。
昨年2004年末に改定され、本来は、規格の重要な内容 は全く変更無く、認証を取得している各企業の規格移行も手続き無しでOKとの話もありましたが、実際は、移行手続きが必要と言うことで落ち着き、一連の混乱をまねきました。
その辺も含めながら、皆さんの企業における実際の対処ポイ ントと、さじ加減をご紹介していきたいと思います。

ISO14001って、何?

初版が1996年に発行され、2004年末に改訂された、環境マネジメントシステムに関する規格です(注)。

これを規準(あるべき論)として、企業の環境活動の適否 を審査し、その企業に認証を与える枠組みが出来上がっているため、世界的に影響力の強いものとなっています。
品質マネジメントに関する規格である、ISO9001とその 認証をご存知の方は、その環境版として、良く理解でき ることと思います。

(注)規格は常に改訂されていき、改訂される毎に、内容が別物になりますので、正確に規格を特定する場合は、規格番号+年度であらわします。

誰が規格を作り、認証するの?

ISO14001も、ISOと言う国際規格ですので、ISOで 審議/作成されます。どうしても、多数の国が参加するため思い通りの規格にならないこともありますが、世界統一規格があると言う意義は高いでしょう。
各企業をISO14001に基づき審査し、認証(企業に免状を与える)するのは、認証機関と呼ばれるところです。
この認証機関の能力を審査し、認証機関としての免状を与える機関は、各国に一つおかれ、認定機関と呼びます。

● 認定機関(各国に一つ)
● 認証機関(幾つでも、OK。ただし、認定機関から審査/承認を受けいること)
● 各企業

規格の目的、背景は?

ISO9001にしろ、ISO14001にしろ、ある程度以上の企業とそうで無い質の悪い企業とを識別すると言うことの他に、顧客が取引先業者(ベンダー)を監査する第2者監査を減らそうと言うのが、目的でした。
多くの取引先がある工場/業者では、既存顧客の定期監査に加え、新製品や新顧客のたびに監査を受けていては、仕事になりません。
その上、電気製品であれば安全規格、食品であれば食品安全の公的(法的)定期監査もありますので、その潜在的経済損失は大きかった訳です。
そこで、顧客から見て、公平かつ透明性があり信頼出来る規格に基づく認証を取得している業者については、その認証そのもので、品質管理が所望のレベルに達しているとみなそうと言うのが、そもそもの狙いです。
こうして始まったISO9001の認証は、世界的に大成功を収め、品質に関する認証体系が出来上がったと考えられています。
これに対する形で、次に環境に関する規格 ISO14001が出来上がった訳です。

取得は強制?任意(自由裁量)?

答えは、任意です。
認証取得は任意ですが、多くの規制、規格、入札で引用されるため、特に入札条件とされている場合は、このISO認証取得が必須となることから、国内のみならず、海外でも多くの企業がこのISO規格に基づく認証を取得しています。
つまり、認証取得が法律で定められたような強制(取らなければ、法律違反)では無いものの、ビジネスの関係から、 ある程度の規模となった企業には、結局は取得が必須となっている訳です。
また、これだけの企業が取得していますと、認証をもっていないこと自体にマイナスイメージが付きまといますので、必然、取得が広まっているわけです。

他には、選択肢は無いの?

実はあります。
国内では、エコアクション21と言った、認証が容易されています。
これは、人的・資金的余裕が無い中小企業向に負担の少ない認証を用意するため、環境省が準備したもので、国内の公的なところではISO14001と同等の扱いがされますが、残念ながら、一般的な商取引の領域ならびに海外ではそう言った扱いを受けないため、限定的な効用となります。

この他に、現在は、ISO14001やエコアクション21の認証を取らないものの、将来認証を目標として、段階的にレベルを上げて行くことを希望している企業向けに、エコステージと言う育成制度的なものも国内ではあります。これと同様の考えが、現在ISO規格化も検討されています。3ないし5段階に到達レベルを設定し、段階的に自社のマネジメントシステムを向上させていくことで、最終的にはISOないしはエコアクション21の認証取得を目指すものです。これは、段階的EMSと呼ばれ、ISO規格も準備されつつあります。このエコステージの良い点は、ISO審査では禁止されているアドバイス/助言が出来ることです。それゆえ、レベルチェックをする監査官も、監査を受ける企業側もお互いに意見交換が出来、対策を一緒に考えることが出来ます。

エコアクション21
http://www.ea21.jp/eco21/eco01.html
エコステージ
http://www.ecostage.org/index0.html
KES環境マネジメントシステム
http://web.kyoto-inet.or.jp/org//kesma21f/index.htm
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ISO14001-2004 - 第2回:認証取得の手続き概要

今回は、各企業の皆さんが、ISO14001の認証を取得する際の手続きや申請窓口などを説明したいと思います。

どこに申し込みをするの?

認証機関(審査機関)に申し込みをします。
第1回でお話しました通り、認証機関(審査機関)が、独自に、企業からの申し込みを受け付けて審査を行いますので、まず、皆さんの会社が認証を取得するとすれば、審査機関選びから始まります。
国内審査機関は、次の(財)日本適合性認定協会のURLで確認することが出来ます。
この(財)日本適合性認定協会が日本の認定機関で、審査機関に審査資格の免状を渡しているところになります。

http://www.jab.or.jp/cgi-bin/jab_examination_j.cgi?list_proc=2
どの位の費用がかかるの?

審査の費用は、各会社の規模(人数、敷地広さ、環境負荷の大きさ等)で、金額が変わります。
各審査機関毎に、価格表が決まっていてそれに従い算出されますので、その点では公平ですが、審査機関毎に金額がすこしづつ違いますので、出来るだけ多くの審査機関に見積依頼をして、一番金額が安く、審査内容もきちんとしているところを選択したいものです。

例えば、20人程度で、オフィスワークだけの会社の標準的な初年度費用は一声100万円と御考え下さい。

構築した仕組みの運営実績はどのくらいの期間必要?

大体、最低3ヶ月以上を目安にしてください。
以前は、ISO14001に要求される会社の環境マネージメント(環境管理の仕組み)を導入した実績を、6ヶ月ほど積んでから審査を受審するのが常識的とされてきましたが、現在は、3ヵ月間の実績でも審査を受けていると聞きますので、大体3ヵ月をMIN実績の目安として、その実績後に、審査の申し込みをされると良いと思います。
会社の仕組み作りの期間もあるでしょうから、会社としての活動日程計画は、仕組み作り期間+運営実績期間として、立案するようにしてください。

審査日数は?

審査機関によっては、企業に事前に文書を提出させるところと、そうではないところとがありますので、幾分違いがありますが、文書審査と実地審査と言った形態で審査をする審査機関で言えば、大体、次のようなものとなります(上記、費用に引用した会社条件を想定)。
なお、注意することは、従来一般的に行われてきました事前審査が、現在は国内では禁止されて行われていません。このため、従来より一日少なくなっているわけです。

■総審査期間 2日( 文書審査 1日+ 実地審査 1日 )

何か注意点はある?

審査そのものには、特にありません。
審査機関も落とすために審査するわけではないので、悪質でない限りは、特段の問題とはならないからです。もし、注意する点があるとすれば、次の3つでしょう。

■ 第1に、社長が導入を判断/決定し、全社内に意思表示をすること
■ 第2に、推進事務局は認証を無理して取得しない (ISOは、社長次第)
■ 第3に、推進事務局は認証を無理して維持しない (ISOは、全社活動)

ISOでは、会社の全社員にまで行き届いた環境に対する姿勢(会社の文化)があれば、それを最も貴重な事と評価します。
事実、認証を取り下げられ、社名を公表されるようなことに至った会社は、末端の社員や責任者にISO思想やコンプライアンスが徹底されておらず、どこも不正をしていたような事例があったためです。

しかし、ISOは事務局がやるもの、と思っている社長や社員が多い会社は、多いものです。会社の規模にもよりますが、トップ自らがルールや手順を無視する発言をして、会社全体の仕組みを壊しているケースもあります。それゆえ、トップが導入を決意しかつ全社員へ意思表明することが、トップ自らを律する意味でも、全社員に意識づけるためにも、重要なわけです。(ISOは社長が勝手なことを出来なくするためのツール、と言った社長さんがいましたが、けだし名言です)

特に、トップが代替わりした際は、特に注意が必要です。ISO導入を決意したトップは、それなりに意識も高いのですが、代替わりしたトップに取っては、自分が決めたもので無い上、ISOに対する苦労や経験も無い例が多く、認識が低いことが多いようです。

また、ISOは事務局がやるものと認識している役職者や社員が多い会社では、審査に合格するために、不味い事にほっかぶりをしたり、張りぼてをしたりすることに、事務局だけで毎年苦労しています。こう言う会社では、事務局以外の人間は、まるで他人事のような状態ですので、ISOが全社活動とは、言葉だけになっています。事務局の涙ぐましい努力は理解できますが、審査に合格すればするほど、ISOは事務局がやるものと思っている人間にとっては、何もしなくて合格しつづける訳ですから、事務局がやるものと言う考えを肯定するようなもので、益々、会社の意識を下げ、ISOを形骸化することにつながります。したがって、下手な努力をしないでありのままで受審することが会社をよくする近道となるのです。

事務局が無理をしないこと、が最も重要なISO維持の心得でしょう。
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ISO14001-2004 - 第3回:2004年改訂のポイント

今回は、ISO14001と言う規格が、1996年度版から最新版である2004年度版で、どう内容が変わったかについて、説明したいと思います。
特に、ISOを担当している方が知りたいところでもあると思いますので、重要な事に絞って分かり易く解説します。

変更点の説明の前に−規格の使い方−

審査員も、受審企業(皆さんの会社)も、それぞれ、ISO規格に基づく企業運営が社内で行われていることを証明しようとしています。
つまり、ISO規格として審査に使用される条文がどれとどれか(企業がしなければならないこと)、と言うことを明確にすることが極めて重要になります。
結論から申しますと、ISO14001の要求条文は、第4項のみとなります。
それ以外は、規格の要求事項では無く、審査とは関係が無いことになります。
従って、企業は第4項に則って環境管理体制を構築し、審査機関は第4項に会社が適合しているかを審査することになります。
企業の方とお話すると、4項以外も規格の要求事項と考えておられる方も居ます。規格を超えて対応するそれ自体は良いことですが、正確な解釈としては勘違いに当たります。

結局、どう変わったの?

品質分野のマネジメントシステム規格であるISO9001との整合が図られました。
主たる規格内容に変更は無く、部分的な小修正であるゆえに、移行審査も無用と言うのが当初の公的機関の見解でしたが、蓋を開けてみると、規格全般に渡り変更が加えられ、移行審査も必要となりました。
ただ、かなり大規模に手を加えてはあるものの、全く違う規格内容となった訳ではないので、幾分手を加えられたと言う位置づけで理解しても良いと思います。

規格の見出しや構成が変更になった部分を一目で分かるように、以下にISO14001の改訂前と改訂後の見出しを示しています。
グレー背景の見出しの文言や構成が、今回の改訂で変更になりました。
基本的には、この部分は、形式的な見出しだけが変わったと理解してください。
また、見出しに変更がなくとも、内容に一定の変更が加えられたものについては、赤字にしてあります。赤字部分は、条文に変更が加えられた箇所になります。

1996年版


2004年版
4.1 一般要求事項


4.1 一般要求事項
4.2 環境方針


4.2 環境方針
4.3 計画


4.3 計画
 4.3.1 環境側面


 4.3.1 環境側面
 4.3.2 法的及びその他の要求事項


 4.3.2 法的及びその他の要求事項
 4.3.3 目的及び目標

 4.3.3 目的、目標及び実施計画
 4.3.4 環境マネジメントプログラム

×
4.4 実施及び運用


4.4 実施及び運用
 4.4.1 体制及び責任

 4.4.1 資源、役割、責任及び権限
 4.4.2 訓練、自覚及び能力

 4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
 4.4.3 コミュニケーション


 4.4.3 コミュニケーション
 4.4.4 環境マネジメントシステム文書

 4.4.4 文書化
 4.4.5 文書管理


 4.4.5 文書管理
 4.4.6 運用管理


 4.4.6 運用管理
 4.4.7 緊急事態への準備および対応


 4.4.7 緊急事態への準備および対応
4.5 点検及び是正処置

4.5 点検
 4.5.1 監視及び測定


 4.5.1 監視及び測定
×

 4.5.2 順守の評価
 4.5.2 不適合ならびに是正及び予防処置


 4.5.3 不適合ならびに是正及び予防処置
 4.5.3 記録

 4.5.4 記録の管理
 4.5.4 環境マネジメントシステム監査

 4.5.5 内部監査
4.6 経営層による見直し

4.6 マネジメントレビュー

変更のポイントは?

ほぼ全項にわたり手が加えられましたが、特に重要だと思われるものは、下記の5点です。
環境マニュアルを含め、皆さんの会社の関連する社内規定は、これらを反映した内容へ変更する必要があります。

■適用範囲 :明文化要求無⇒明文化要求有
■対象範囲 :組織が管理出来る範囲⇒組織が影響を与える範囲
■対象人員 :従業員⇒組織に関係する全ての人(パート等含)
■外部文書管理 :記述無⇒配布管理
■コンプライアンス :定期見直し要求無⇒要求有
■マネジメントレビュー :トップへの報告項目の定め無⇒報告項目を規定

何をどうしたら良いの?

かなり多くの変更が加えられておりますが、根本を覆すようなものではありませんでした。
従って、規格の変更点を皆さんの会社の社内規定へ反映する事が、主たる作業となります。
その上で、数点、重点的に注力していただければ、完璧でしょう。
まず、教育ですが、パート、役員、契約社員を含み、従業員以外の方へも教育することを、仕組みとして導入することを忘れないで下さい。
次に文書管理ですが、外部文書の管理が、新たに追加されましたので、この管理対象判断規準、ならびに実際の配布管理記録が必要となります。
必要となる外部文書はそう無いのが普通でしょうから、実態としては、実務対応は発生しないのではないでしょうか。
次に、コンプライアンス(法遵守)ですが、定期的なチェックを仕組み化し、社内規定へ明文化してください。該当する法令等(その他の組織が同意する事項も含む)の情報最新化の仕組みと、実際の企業活動自体のチェックとの両方が必要です。
ただ、前者は従来より運営されているでしょうし、後者は内部監査で良いと思います。
最後に、マネジメントレビュー(社長によるレビューで、大抵は年度会議として運営)にて、トップへ報告する情報項目が今回追加されましたので、社内規定へ反映すると共に、その情報を円滑に取り纏める実務体制を確立するように御願いします。
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ISO14001-2004 - 第4回:認証取得対策1−社内推進体制の構築方法

前回までで、ISO14001のあらましを理解いただきましたので、今回は、活動初期で構築しておくべき推進体制について、お話します。
具体的なアクションや計画も勿論大事ですが、実際にアクションを始める前に、まず社内の推進体制を構築する必要があります。
社内体制の出来、不出来が、その後のISOが形だけの重荷になるか、本当に意味あるものになるかを決めると言っても過言ではないでしょう。

『あそこの会社のISO事務局はいいなぁ〜。あんなに理解のある人が社長で』、と言うのは良く聞く話ですね。
これはISOだけでなく、会社も同じで、部下は上司を選べない。
ここに実は、会社員であるISO事務局の難しさと、社内推進体制の構築の要諦(ポイント)が隠れています。

推進体制の出来/不出来の勘所

会社がISO認証を取得するのは、色々な理由があるにしろ、当然会社に必要だからです。
こんなことをいっては何ですが、場合によっては、ISOの免状がありさえすれば良いと言うケースもあるでしょう。
しかし、であるならば、だからこそ、その維持を大きな負担無く遂行していく必要があります。
普段放置してあるものを、毎年ある時期に集中して作業する負担が小さいはずはありませんから、無駄と無理ばかりになります。
それこそ、何のメリットも無いでしょう。
丁度、年末に大掃除をするようなもので、かえって無駄の多い話です。
在庫管理をしている方は、この話が良く分かると思います。その都度、きちんと記帳しておかないと、在庫データが狂い、かえって余計な作業が付きまとうものです。
ここまでで既にお気づきだと思いますが、推進体制が良いかどうかは、日常業務にISOが溶け込み余分な作業無く実行される状態まで押し上げていく、推進力となれるものになっているかどうかと言うことにつきます。

推進体制構築の目的と目指すところ

推進体制の目指すところは、前述の通り、トヨタの改善と同じようにその会社の文化として、日常業務にISO活動が溶け込んだ状態を実現することです。
ISOを別箇に行うのではなく、日常業務を遂行することイコールISO活動となるのです。
そのような理想状態では、特別に余分な作業をすることなく、組織は常に、悪いところがあれば自律的に直し、常により良くなろうとすることが普段着の状態となりますので、何もすることなく、ISO免状を維持していくことが出来るようになります。
負担が劇的に減りますので、活動現場はその変化に本当に驚き、喜ぶことでしょう。
その推進力を継続的に発揮するために、どう体制を構築していくべきか、これが大変重要です。

推進体制構築のポイント

結論は、リーダは誰しかなれないか、環境管理責任者を誰にするべきかを、明確に意識することにつきます。
事務局が環境管理責任者になると、よほど社長が優秀で目端の利いた方で無い限り、重荷のISOになると覚悟することになります。

ISO14001では、トップと、その環境マネジメントにおける実務代行としての環境管理責任者の2人を体制の骨格とすることを記述しています。
そして、その環境管理責任者にしかるべき権限を付与することが必須となっておりますが、わたくしの経験では、この環境管理責任者が曲者です。
規格の通り、いかないのです。
権限を付与された環境管理責任者にお目にかかったことさえありません。

規格では必要とする権限を付与することになっていますが、実際は、環境管理責任者に部長職の一人がついた場合、新たに付与される権限は無く従来のままと言うのが一般ですから、他の部長職に対して、依頼は出来ますが指示が出来ないのです。
熱意に欠ける部長職が活動メンバーにいる場合は、特に、リーダシップを発揮する裏づけが必要ですが、これが欠落している訳です。
勢い、形式的で意味の無い活動となってしまいます。
これも社長が常に同席して、それらの悪い芽を摘むような正しい指導があれば不足が補われて良いのですが、傍観者になりがちなトップが多いようです。

それゆえ、環境管理責任者が役員等、ほぼ経営者と同列でない限り、推進体制のリーダは、 常にトップ(社長)とするべきです。
そして、何事も社長が前面にでて、リーダシップを発揮することがISOのトップダウンの原則だと考えます。
うまく行き始めると、この大原則を緩める事務局がおりますが、これは間違いですので特に注意していただきたい。

また、各部門リーダ等、初期の推進活動の中核的メンバーは、しかるべき決済が出来る権限を持っているものを選出するべきです。
そして、導入が済み、ある時期になりましたら、若手の次期リーダ候補などへ中核メンバーを移行してISOの理解者の裾野を広げると共に、長年にわたり安定して参画できるものを育て、世代が変わる度にゼロからはじめるようなことのないように配慮するのがコツです。

■リーダ :社長
■環境管理責任者 :役員
■事務局 :所轄部門長(品質or環境)
■各部門リーダ :各部門長
■参加メンバー :全社員

社内体制が推進力を失ってしまったら

経営者が代替りしたり、代替りしないものの途中で関心を失ってしまった場合、どうしたら良いでしょうか?
誰も評価されないことはやりたがりませんので、ISO活動自体が形骸し、見る見るうちに意味の無いものになっていくでしょう。
そうなりますと、ISOが日常業務外のものとなりますので、現場にとっても事務局にとっても、苦労の多い重い厄介ものになります。
社長に意見の出来る人間は、社内にそういるものではありませんし、意見したところで、ISOに対する継続的な意欲を示すとは限りません。
再度、推進力のある社内体制を構築すると言うことは、すなわち社長がその気になると言うことですから、そう言った状況に陥った場合は、是非、外部の力を活用してみてください。

コンサルタントなどを利用して、あるべき論から、再構築へ結びつけるのが良いでしょう。
皆さんの本音や言いずらいことは、コンサルタントが代わって言ってくれるはずです。
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ISO14001-2004 - 第5回:認証取得対策2−環境方針、環境目的、環境目標の定め方

前回までで、初めてISO認証取得に取り組むにあたっての社内EMS(環境マネジメントシステム)推進体制が構築できたことになりますので、次に、環境方針、目的、目標を定めなければなりません。
今回は、その定め方の勘所をご紹介したいと思います。

環境方針、環境目的、環境目標って何?

環境方針、環境目的、環境目標は、ISOの専門用語ですので、ともかく初めはピンとこないと言うのが正直なところだと思います。

■環境方針を、環境に関する会社方針
■環境目的を、中長期計画(指針)
■環境目標を、短期計画(活動計画)

として、覚えてください。中味がわかると、なぁーんだ、そんなことかと言ったところですが、用語のニュアンスが分からないとついつい不安になるものです。
環境方針とは、環境に関する、その企業の基本方針です。各社ともに、経営理念や行動理念などを制定済みだと思いますので、その環境版と御考えいただければ、しっくりくるものと思います。したがって、一度決めますと、そう変更することはありません。
環境目的、環境目標は、環境方針に基づく実際の行動計画と理解してください。
2つもあると分かりずらく、別のものを指しているように思われがちですが、実際は、どちらも行動計画です。
環境目的が、中長期の行動計画(ここ5年程度で何をどうしていくか)。
環境目標が、 短期の行動計画(今年、何をどうしていくか)と理解していただけると分かりやすいと思います。
本来は、行動計画を中長期と短期の両方を立案しなさいとすれば、万人に分かりやすいのですが、英語規格を英単語にあわせて直訳するため、このような用語となってしまったわけです。

環境方針、目的、目標はどう決めたら良い?

環境方針は公開することが規格で要求されていますので、すこし威儀の整った形で文面を作成されると良いと思います。作成の際は、規格で記載ある7項目を盛り込んだ形で明文化することが求められますので、注意してください。

環境方針が制定されましたら、次に環境目的、目標の策定に入ります。
ここでの姿勢としては、会社の技術力、人員、資金、周囲情勢などを考えながら、まずは可能な身の丈にあった範囲で立案することです。
ISOの良いところは、姿勢を重んじ、徐々に良くなる猶予を認めてくれていることです。
したがって、こうでなければならないと言ったこともありませんし、現在レベルが所定のレベルでないこと自体で、ばっさり切られることはありません。
ただ、だからと言って、ここ数回の連載で記載していますようなルーズになりすぎては問題外ですが。

また、規格では、各部門毎にこれらの環境目的、環境目標を定めるような要求がありますが、企業の規模により、全社統一にすることが肝要です。
なお、これらの策定前に(何事も実態把握が先と言うことで)、環境側面評価を先にされることを推奨しています。必ず事前に実施下さい。
環境目標については、より具体的な担当(誰)や日程(いつ迄)の実施計画を定めて完成となります。
環境目的、環境目標は、環境方針に沿った形で作成することをお忘れなく。
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ISO14001-2004 - 第6回:認証取得対策3−関連法令の最新化維持方法

今回は、自社の活動に関連する環境法令を漏れなく洗出し、最新化、維持する情報入手方法についてお話したいと思います(規格要求事項 4.3.2項)。
規格要求事項への最終的対応としては、入手した情報を元に、自社に関連する環境法令を一覧表に纏め、維持更新していくと言うことになりますが、初めてISO14001認証取得に挑む方にとっては、一覧表作成よりも、どう情報入手ルートを構築したら良いか分からないというのが本当のところだと思います。
その辺の勘所をご紹介したいと思います。

ISO規格の要求と範囲

ISO14001での要求対象は、法的およびその他の自社が同意する要求事項となっていますので、実際の取り纏め対象は、法令のみならず、顧客や地域住民との約束事項、業界の自主規制など多岐に渡りますが、法令以外は自社自ら決済しているだけに、しっかりと把握できますので問題はありません。

むしろ、まったく気がつかないうちに変化していく環境法令のほうが、中小企業の方にとってはやっかいなのだと思われます。

この部分は、専門分野にもなりますので、大変な労力や継続的な負担を必要としますから、わたしくとしては、専門のコンサルタントに環境法令の情報管理・提供一切を任せることを推奨しています。比較的安価にそう言ったサービスを、どこのコンサルタントも提供していますので、費用対効果は十分でしょう。
ですが、どうしても自社でと言う場合のことを今回は説明したいと思います。
■環境法令
■所属工業会、団体での自主規制
■地域住民、顧客との約束事項

環境法令の種類と意味

環境法令は、ご存知の通り環境基準値や規制内容を定めているものですが、政府や中央省庁に関わる『法律』関係と、市町村などの地方自治体が定める『条例』との2種類に大別することが出来ます。一通りの法令種類と意味は、下記に纏めておきました。
法律は官報を購読すれば、すべての改廃情報を、一応目の前を通るように仕組み化したとすることが可能ですが、地方自治体の条例の改廃・新設は官報には載ってきませんので、別の方法による必要があります。最近は、条例をインターネットに掲載する地方自治体も多くなりましたが、わたくしは地元地域条例については、やはり定期的に地元市町村の窓口にいくことをお勧めしています。

■法律 : 国会の議決。憲法、条約につぐ効力
■政令 : 内閣が制定した命令
■省令 : 各省の大臣が発する命令
■告示 : 国の機関が必要事項を一般的に知らせる
■通達 : 国の機関が地方自治体等に命令、示達
■条例 : 地方自治体の議会で制定

環境法令情報の入手ルートと方法

環境法令の最新情報を常時入手しませんと、把握するべき環境法令の最新化ならびに維持はできません。そこで、いくつかの想定のもと、情報ルートの考え方と拠りどころを論じてみたいと思います。

まず大手企業ですが、環境のみならず全ての業界に関連する法律は、関係省庁が事前に工業会などに審議を依頼してきますので(経済関連であれば経済産業省、環境関連であれば環境省から)、制定前から動向を含めて知っていることになりますから、そもそも最適な情報入手ルートが構築されていると考えて良いでしょう。

次に、大手ではないものの、工業会や業界団体に所属している場合は、上記に準じた形で、自然と情報が流れてきますので、これも情報ルートは構築されていると御考え下さい。

大手企業の顧客をもっている方は、特別な費用や仕組みを構築することなく、上記の有効な情報が入手できていると考えて結構です。ISO14001を取得している大手企業では、ISO規格の要求に従い、情報を遅滞無く取引先に連絡することが必須となっているためです。
是非、この情報ルートを積極的に活用してください。

問題は、上記3つのいずれにも該当しない場合で、自社で最新情報を的確に入手しようとす場合です。
これは、インターネットを活用して情報入手をすることにつきるでしょう。
下記に参考となるホームページを列挙しています。
これを補完する意味で、関係省庁に問合せの電話をすることも有効です。特に最近は、すこし各省庁の対応が昔にくらべて良くなってきたように感じます。
この他に、最近では、一つの省庁に依頼することで他省庁分野で関連する法令・規制をも、一括で調査報告してくれるサービス(総務省 法令適用事前確認手続き)がありますが、これは社名や質問・報告内容が公開されるため、過去に利用している会社も極端に少なくお勧めではありませんが、困ったときの必殺ワザとしては使えるかも知れません。
また、地元地域条例は、インターネットに拠らず、直接、定期的に市町村を訪問頂きたい。
いずれにしても、政府が提供している無料の法令関連データベースはどれも使いづらく、専門家であるか、あるいはピンポイントで探している法令条文を見つけるため以外は、なかなか活用までは難しいでしょう。
したがって、地元自治体(行政)との直接的な情報交換をお勧めしている次第です。

今回は大変長くなりましたが、環境法令の最新情報収集とその維持方法についてお話しました。次回は、環境側面評価の方法とその勘所について、ご紹介したいと思います。

■環境法令条文(地方自治体の条例は含まない)
法令データ提供システム(総務省行政管理局)

■環境法令 改廃速報(法令題目のみ)
法令提出/成立情報(内閣法制局)
官報ダイジェスト(首相官邸) 注.毎日の発行官報ダイジェスト

■地方自治体条例(地元自治体に関しては、このデータベースを参考としないで下さい)
全国条例データベース(鹿児島大学法文学部)

■その他関連サイト
産業廃棄物やマニフェストシステムの解説(全国産業廃棄物連合会)
建設リサイクル法の解説 (国土交通省)
包装容器リサイクル法の解説(日本包装容器リサイクル協会)
自動車リサイクル法の解説(自動車リサイクル促進センター)
家電リサイクル法の解説(家電製品協会)
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ISO14001-2004 - 第7回:認証取得対策4−環境側面評価方法

ISO14001では4.3.1項にて、環境側面ならびに著しい環境側面の特定とその文書化が要求されていますが、そのやり方については特別な指定が無いため、初めてISO14001認証取得に取り組む企業の方にとっては、毎度混乱される事項のひとつでもあります。
今回は、その方法論と勘所をご紹介したいと思います。

環境側面とその範囲

環境側面とは、環境と関連のある要素、事項の全てですが、2004年度版のISO14001では、自社の責任範囲を超えて、言い方を変えると自社が管理できる範囲を超えて、より広く環境側面の把握を求めています。
とは言え、一度に理想的なことは無理ですので、すこしづつと言う姿勢を堅持していただきながら、自社が管理出来る以外でも、自社の製品/サービスに関連する環境側面があれば、特定し文書化するようにしてください。
では、自社が管理出来ない環境側面とは一体どんなものがあるでしょうか?
例えば、自社が購入する原材料のプロセスに、環境上、厳密な取扱いが要求されるものがある場合などはこれにあたるでしょう。また、製造外注を活用している際も、製造活動における環境側面への配慮、順守は、一義的には先方の責任範囲ではありますが、自社が影響を与えることが出来る環境側面といえます。
これらの自社の製品、サービス、活動に関わる環境側面を、知りえているだけ全てきちんと把握する必要があるわけです。

■環境側面とは
環境と相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素
■著しい環境側面とは
著しい環境影響を与えるか又は可能性のある環境側面

環境側面とその範囲

環境側面ならびに著しい環境側面を全て洗出し、その影響度を定常時/非定常時/緊急時とにケース分けして、それら毎に影響度(深刻度)/頻度を点数評価することをお勧めしています。
環境側面の特定方法と評価方法論自体がISO14001で準備されていないのですから、出来るだけ論理的で定量的な方法を自社で選択し、適切な運用をする必要があるからです。
環境への影響度、発生頻度共に、10段階に分け、それぞれの項目を配点した後に、影響度と頻度の掛け算で最大100点とし、80点以上は著しい環境側面とするなどの基準で環境側面と著しい環境側面とを切り分けるのが一般的でしょう。
これらの点数法だけでは偏りや抜けが出るでしょうから、法律に直接関わる重大事項や、あらかじめ分かっているような重大事項も、著しい環境側面とします。
最終的には、次のような表に纏めることで、体系的に特定し文書化したことになります。



最終的な取纏めと運営

環境側面評価が終わった後は、前回お話しました通り、ここで纏めた環境側面評価結果を参考に、環境目的や環境目標(年度環境活動目標)を定めることになります。
また、深刻な環境汚染や事故を引き起こす恐れのある著しい環境側面は、文書化した管理手順が要求されますので、規定/手順の準備を御願いします。
改善をするべき、あるいは改善効果の期待される環境側面は、上で記載しました通り年度の環境目標や数年間にわたる改善目的で取上げることをお勧めしています。

なお、わたくしが環境側面一覧表で、企業の方に記載をするよう常にアドバイスしていることが2つあります。

一つが、既に導入済や処置済の対策や改善項目も、出来るだけ継続維持項目として、引き続き上記で説明しました環境側面評価一覧表で取上げて行くことです。
実際のところ、従来完了している改善項目が、継続して環境負荷を低減していることが少なくないのです。

次に、プラス効果の環境側面があれば、これも記載することです。
環境側面と言うのはほとんどが環境汚染の恐れなど、マイナスのものが多いのですが、プラス効果の環境側面が御社にあるようであれば、これは必ず前述の一覧表に乗せると、メリハリがつきますし、ISO審査でも、きっとこれらのことが心象を良くしプラスに働くはずです。

以上が、環境側面評価方法、ならびにその結果の活用に関する説明となります。
ただ、その時点で最適なものも、時間の経過と共にそうでは無くなりますので、1年に一度程度見直しをして下さい。
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ISO14001-2004 - 第8回:認証取得対策5−文書化対策(番地体系、ソフト、媒体等)

ISO14001では4.4.4項 文書類、4.4.5項 文書管理にて、体系的な文書の運営を要求しています。
文書を要求するとは、すなわち標準化体制を要求することでもあります。
また、文書はあらゆるマネジメントシステムの重要ツールの一つですが、一方で、使われず放置されるゆえに形骸化しやすく、定着して有効に機能している会社の少ないものでもあります。
これは、企業の規模によっては、標準化の下、文書化を図ること自体に敷居が高いことも一因でしょう。
今回は、文書の体系化を図る勘所を、これからISO14001の要求事項に従って標準化を導入しようとする皆さんを対象に、お話したいと思います。

文書の導入とは

規定書、手順書や設計図面などの文書をあらゆる経営実務の場面で導入すると言うことは、とりもなおさず標準化と言う品質管理(現在では全ての経営手法に浸透していますが)の重要な手法を導入することと同じです。
従いまして、初めにキチンとルールを決めてから必要な手順や設計図面などを文書にして行きませんと、バラバラの文書が大量に作成され、文書を作成した者しか見つけられないものになってしまい、文書間の記載事項も逆行したりと整合の取れないものになりがちだからです。
勿論、これまでの連載で指摘しています通り、最も大切なことは、規定や手順を文書化し運営していくと言うことを、トップが強く社員全員に意識付けを図ることですので、お忘れなく。

標準化(文書の導入)を成功させる5つのポイント

標準化を成功させる手法的なポイントは、大きくは5つです。

■文書様式統一
■文書番号の体系/分類
■文書の承認/改廃手順
■文書類の媒体(紙or電子化)
■管理ソフト

文書様式の統一は、現在では多くのISO様式が準備されていますので、それを購入し統一して使用されても、自社で作成されて使用されてもどちらでも良いでしょう。

文書の承認手順も、ISOに従って定めれば良いですから問題ありません。

実際の文書の新旧差換えや廃棄などの改廃手順は、文書の媒体が紙の場合は、しっかりときめておく必要があります。改廃文書がある程度貯まってから作業したりしますと、直ぐに末端部署の標準類は旧版が残っていたり、番号の間違った順序で保存されていたりと使い物にならなくなりますので、ご注意下さい。

文書の媒体ですが、記録などは元々紙ベースですので、紙が媒体となりますし、設計図面はCADが一般に広がっていますので、原本は電子ファイル、確認や外注への指示/配布のために紙に出力して運営している場合がほとんどでしょうから、選択の余地は無いのです。
問題は、経営システムの文書や作業手順書などの標準類です。
わたくしは、パソコンなどのITに社員が慣れている会社には電子媒体(つまりパソコンで標準類を閲覧)を、そうで無い会社には、紙で各部署に配布する紙媒体を推奨しています。
制定されても使われないと、標準類は改訂されず、風化してしまいますので、使う側の方々にあわせて自然体で選択すれば良いと思います。
メディアを電子媒体にした場合は、ただのファイル一覧ではいかにも使い勝手が悪いですので、管理の手間を省き、ユーザが閲覧するのに快適(少なくとも不快ではない)となるよう支援するソフトが必要です。これも、市販されているものが多く出てきましたので、電子媒体を選択された場合は購入されると良いと思います。100名規模の事業所で、70〜80万円と言うのがソフト価格の相場でしょうか。

文書体系(対象とする文書類)

標準化する対象の文書類ですが、一般には制限をつけず全てと理解されると良いと思います。
ただ、会社の規模が小さいうちは、営業や経理部門には手順書が無い会社が多いですので、無理をせず、導入当初はISOに則った項目、ならびに標準作業が必要とされる作業手順書などに限っても良いでしょう。最近は、中規模以上の会社では、内部統制などが騒がれ始め、経理/営業/物流等、会社資産(物品や金銭)に関わる全ての部門の手順に文書化が要求され始めていますので、各部署の意識も変わらざるおえない別の面もあり、標準化導入もやりやすくなり始めています。

会社が事業部制や工場などがあり、階層型になっている場合も注意が必要です。
会社ルールが上位規定、各事業部/工場の規定は会社ルールに対して下位規定となりますし、それぞれの階層と一目で分かる統制の取れた番号体系が必要となります。

その他、各事業部/工場毎のさらに小さな組織として部や課単位での手順書もあるはずです。

そこで、結論ですが。
標準類(手順書等を意味しています)は、会社、事業部、工場、部門で階層化して体系化し、導入当初は、経理や営業などあまり手順をはっきりきめていない(きまっているはずですが、わざわざ文書にせず口頭伝達や処置が多いの意味)のが慣例の部門もありますので、ISOの項目に要求される手順/部門/部署からとすると円滑にスタートできます。
標準類の種類としては、従前の規定類(規定、手順書を含む)、設計図面、記録類と大別できます。
設計図面は主にCADで作成されサーバ内でしょうし、図面番号等標準化思想は、実は初めから導入済みですので、そのままで良いでしょう。
記録も、特段問題ない限り、現場の従来通りの方法論で構いません。

文書番号体系

ここまで来ますと、後は番号体系(発番体系)となります。
本社、支社、工場などと言った大規模企業の場合は、3項構成を。
数人規模の会社で、とりあえずISOにあった形の文書体系をと言う場合は、2項構成あるいは変則1項構成をお勧めしています。

■大企業向け3項構成の事例
TC01−3−00105
注.TCの項で会社、支社などの階層を示し、01で関連する分野/機能を示します。
第2項(この場合は3)で小分類を、第3項を小分類内での連番とします。

■小規模企業向け変則1項構成の事例
QM−000105
注.第1項は単なるISO関連規定の意味でのサフィックスで、第2項は連番。
規定類や手順書が少ない場合は、馴れるまでは、この形で導入すると始めやすいでしょう。

文書導入(標準化)にあたっての体系/体制整備について、随分と頭の痛くなるようなお話を今回はしましたが、いかがだったでしょうか?。
何事も、スタート時に出来るだけ苦労しておくと後が楽になりますので、すこし大変かも知れませんが、是非、いろいろ思考錯誤してみてください。
次回は最終回となりますが、ISO認証取得スケジュールならびに取得後の年間スケジュールの立案と勘所について、お話させていただく予定です。
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ISO14001-2004 - 第9回:認証取得対策6−年間活動のスケジュール方法

前回までで、ISO14001−2004の認証取得に関する全体感を掴んでいただいたことと思います。
今回は最終回でもありますので、認証に初めてチャレンジする初年度、ならびにその後の維持年度のそれぞれの年間スケジュールの立て方について、紹介したいと思います。

認証取得にチャレンジする初年度スケジュール

一般に、認証取得に初めてチャレンジする場合の体制整備から審査受審までの活動期間は、1年程度といわれています。
それは、一つには、構築されたシステムの運営記録を6ヶ月ほど、審査機関が従来要求していたためです。コンサルタント経験からすると、企業規模が100人を超えるようであれば、この活動期間 1年間を踏襲して体制整備を行い、その後、ISO14001認証審査を受審する全体計画が良いようです。
逆に30人程度あるいはそれ以下のところであれば、最短で3ヵ月のシステム構築、3ヶ月の運用実績でも、かえって緊張感を持続して体制整備から審査までを行えますので、良いように思います。
スケジュールの全体感を掴んでいただくために、各活動をステップとフェーズにわけて、そのステップ毎にどんなタイミングでどのようなことを行うべきかを、列挙したいと思います。

PHASET − 社内体制構築期間(およそ11ヶ月、うち半年がSTEP4)
■STEP1:導入ステップ
■STEP2:マネジメントプログラム策定ステップ
■STEP3:システム文書作成ステップ
■STEP4:システム運用ステップ(およそ6ヶ月間運用します)
■STEP5:フィードバック

PHASEU − 審査準備期間(およそ1ヶ月程度)
■STEP6:審査準備ステップ
■STEP7:本審査

このように、体系だてて全体スケジュールを見ますと、活動自体も把握しやすくなります。
わたくしが最も力を入れるのは、導入ステップに用意されているメニュー(詳細活動項目で今回割愛しています)の一つである、経営層へのオリエンテーション&経営層のコミットメントです。
経営層がISO14001の取得がどう言うものであるかを理解し、その認証を取得することにコミットすることで全てがスタートする訳ですから、生半可な気持ちや流行で認証取得を指示されては困るわけで、ここが活動の肝になります。

認証取得後の年間スケジュール

認証を取得した後は、かなりの企業でISOのスケジュールがおざなりになりがちです。
それは、棚卸・月末締・四半期決算・年度決算等、企業の重要な活動とかち合って、ISOを犠牲にするケースが多いためのようです。
それゆえ、認証取得後の毎年の年間スケジュールの立て方が、実はきわめて(根源的には重要ではありませんが、実務上)重要であるわけです。

特にご注意したいのが、来年度活動計画策定の時期です。
来年度の環境目標や、内部監査/外注監査/教育日程などの中には、事務局だけでは立案できないものがありますので、なおさらです。
必ず、来年度計画は今年度中に立案し、マネージメントレビュー会議で報告するように徹底してください。
これを、年末の忙しい時期にいろいろと他の予算策定や実績まとめなどがかち合うだろうと、来年に延ばしますと、年間の活動サイクルがおかしくなる原因となります。

また、品質月間などの注目すべき行事をタイムリーに配置して、社内の関心を上げるとともに、変革をしかけるきっかけを毎年定期的に用意しておくことも必要です。
なお、棚卸や決算では、製造部門や経理部門はその期間全く機能しなくなるものですが、会社によってその日程にくせがありますので、企業間で一様ではないようです。
従って、自社の棚卸や決算の取り纏め日程を事前に把握して、それらの活動とISOの活動が重ならないようにすることも、勿論必要です。

■年初  経営者訓示
■ 4月 外注監査 (注1)
■ 6月 内部監査 (注2)
■ 9月 防災訓練 (注3)
■11月 品質月間 (注4)
■12月 今年度活動報告取り纏め
来年度活動計画取り纏め
マネジメントレビュー会議

注1) 外注監査は年間複数回あるでしょうから、これは一例です。
注2) 内部監査についても注1)同様です。場合によっては品質月間の1行事とすると良いかも知れません。
注3) 9月1日は防災の日で、ISO要求の緊急時トレーニングとして行う事例です。
注4) 日本では11月を品質月間としています。

ISO14001の連載も、今回が最終話となります。
コンサルタント実務で経験したポイントから連載を構成しましたが、多様な読者の要望にしっかり答えているかといえば、十分とはいえないのではないかと思います。
また、次節に機会がありましたら、さらに紙面を充実した形で、最新の情報を提供したいと思います。
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